2011/04/14(木) 16:37|震災

宮城県知事宛の緊急要望書

  遅くなりましたが、4月1日「風の会」「わかめの会」が提出した宮城県知事への緊急要望書を紹介します。テキスト文書にして貼付けています(会の代表者の名前・住所・電話番号を削りました)。

* * * * * 
2011年4月1日
宮城県知事 村井嘉浩殿 

福島原発震災についての緊急要望書  
  
みやぎ脱原発・風の会
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)                  
 3月11日に発生した地震と津波の結果、福島第一原発では原子炉および使用済核燃料プールを冷却することができなくなり、原子炉建屋が水素爆発し、さらに放射能を閉じこめる「最後の砦」といわれる格納容器も損傷して、大量の放射能が環境中にまき散らされるという深刻な事態になっています。しかもまだ終わりが見えていません。
 福島県の隣県に住む私たち宮城県民は、いま大きな不安の中にあります。ただでさえ、地震・津波による甚大な被害を受けているにもかかわらず、さらに原発震災による放射能の心配までしなければならないことに、大きな憤りを感じています。
 事故を起こしたのは、東京電力福島原発ですが、宮城県としても隣県の原発に起因する被害に対して県民の安全を守る責任は危機管理上、当然あってしかるべきでした。 
 しかし宮城県は、これまで原発について国と電力会社のいってきたことをうのみにして、女川原発をはじめ国の原子力政策については 「安全だ」といい続けてきました。よって県民に対して十分な安全上の施策(各所へのモニタリングポストの設置や迅速な情報公開、避難の方法など)を怠ってきたことに対し、大いなる反省が求められていることを認識すべきです。
 まず、今起こっていることに対し、宮城県民の健康を守るため、以下の点を早急に実現されるよう、強く要求いたします。

1、乳幼児の健康を守るため、ヨウ素剤の配布準備と、その用法についての県民への説明を徹底させること。(特に福島県に近い宮城県南地域において)

 毎日、宮城県原子力安全対策室から発表される空間放射線測定値によれば、山元町など宮城県南地域では、これまでで最高で1.59マイクロシーベルト/h(3月16日)など、軒並み高い値を示しています。(通常は0.03〜0.05マイクロシーベルト/h)
 放射線量は日々変わりますが、原子力安全委員会が発表した、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算によれば、1歳児のヨウ素の内部被ばく臓器等価線量の試算値は、すでに福島県の北部にある伊達市にまで100ミリシーベルトの値に達しています。
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
 また、茨城県薬剤師協会では、「ヨウ素剤は,原子力事故の際に放出される放射性ヨウ素を吸入した際に, 放射性ヨウ素が甲状腺へ吸収されることを阻害する働きがあり, 甲状腺ガンの発症を低減させる目的で, 甲状腺被曝線量が100ミリシーベルトを越えると予測される場合に服用します」としています。
http://www.ipa.or.jp/info/info11031215_tohoku.pdf
 これらからいえば、福島原発からの放射能拡散の状況がさらに悪化する可能性も強いことから、特に宮城県南地域、さらには宮城県全域において、ヨウ素剤の配布を準備し、正しい服用の方法を県民に知らせることを要求します。とくに、県としては、いつ、どのような状況になれば、配布を始めるのか、配布基準と配布方法について教えてください。

 付け加えると、一部報道において、「X線と比べて低い値」だとか、「CTスキャンと比べて低い値」だから大丈夫だという見解がありますが、これは「外部被曝」と「内部被曝」、また「急性障害」と「晩発性障害」を混同した暴論です。内部被曝は、食べること、呼吸すること、そして皮膚から体内に放射能をとりこんで、体内で被曝することですが、その危険性について国はまったく国民に知らせていません。「ただちに健康に影響がない」レベルでも、汚染された食物を食べたり飲んだりすれば、確実に内部被曝します。そして、それは晩発性の障害として5年後10年後に発生する可能性があります。
 アメリカ政府は東北・関東圏に在住するアメリカ国民へヨウ素剤の配布を決定したと報じられています。また、チェルノブイリ事故後約5年目から周辺諸国の子どもたちの甲状腺ガンが増大し事故との因果関係は国際的にも認められていますが、チェルノブイリ事故時ポーランド政府はいち早くヨウ素剤を国民に配布したため、事故後同国の甲状腺障害者は殆ど出なかったと聞いています。
 宮城県は、福島原発の直近における外部被曝による急性障害を受けるわけではありません。県民の安全を守るために考えるべきは、内部被曝による晩発性障害です。したがって、少なくとも子どもたちの甲状腺ガンを防ぐ手立てであるヨウ素材の配布については準備することを強く要望します。 

2、空間放射線量だけでなく、大気中のヨウ素131やセシウム137の放射性物質、さらにその他の核種についても検査し、毎日公表すること。また、水道水・農産物の放射能測定についても、定期的に測定し公表すること。それらをグラフ化して公表すること。

 文部科学省のHPには、上水(蛇口水)、定時降下物のモニタリングのページがありますが
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303956.htm
 宮城県は「震災災害によって計測不能」となっています。
 多くの県民の不安と怒りの声が宮城県を動かして、なんとか水道水と農産物については東北大学の協力で測定を始めたようですが、すでに福島県内で放射能汚染が発表されてから1週間以上がたっており、また一時は「宮城県では測定しない」とするなど、県民、ひいては国民の健康を守ろうとする姿勢が全くありません。「風評被害があるので測定しなかった」という知事の言葉が本当であるとすれば、乳児を抱える親にとっては信じられない発言ではないでしょうか?
万が一宮城県の水道が放射能汚染されていて、それを測らないために乳児に飲ませ続けてしまったときの親の不安と後悔という可能性を、県は考えていたのでしょうか?
 ともあれ、今後はやっと始まった水道水と農産物の放射能検査について、可能な限り県内各地・また多種多様な作物について毎日計測し公開することを求めます。

 また、まだ計測していない、大気中のヨウ素131やセシウム137の放射性物質、プルトニウムなどその他の核種についても検査し公表してください。山形市では、3月26日にヨウ素131が7500MBq/km2、セシウム137が1200MBq/km2と、かなり高い値を示しています。当然、宮城県にも放射能の雲が到来していることが予想されます。
さらに、今計測している、空間放射能値、水道水および農産物の放射能値、さらに今後計測する大気中のヨウ素131やセシウム137の放射性物質の値について、日々の変化が一目で県民に伝えわるよう、横軸を計測日にしたグラフにして日ごとの変化がわかるように公表することを要求します。
 
3、空間のほか海洋および土壌など宮城県全域での恒常的な放射線測定を求めます。

 今回、宮城県は女川にしか放射能測定器を置かなかったために計測できず、文部省がまとめて全国レベルで行っている放射能検査に宮城県が参加できないという不手際を示したことに、県は猛省すべきだと思います。もし、仙台市などにモニタリングポストを設置していたならば、今回のようにはならなかったはずです。
 今後は、今青森県や東北大学などの協力によってなんとか実施している放射能計測について、女川・石巻だけでなく、少なくとも仙台をはじめ県内各地で恒常的に実施できる体制をつくるよう求めます。
 ちなみに、青森県では、青森市のモニタリングポストで計測している放射能値をリアルタイムで公表しています。
http://gensiryoku.pref.aomori.lg.jp/atom/index.html

 また、現在女川周辺でしか行っていない、海洋での放射能検査(海水・海産物・環境試料)を、県内広域で行うよう要求します。とりわけ、福島県に近い山元・亘理沖での検査を早急に行うよう、体制をとってください。
 さらに、3月27日に枝野官房長官はプルトニウムが周辺の土壌を汚染しているかどうかの調査を急ぐ考えを明らかにし、その後福島原発敷地内でプルトニウムが検出されています。県としても土壌汚染に対する放射能検査を行ってください。

4、女川原発の被害状況についての報告をしてください

 福島原発の事故が起こったことにより、女川原発について心配する声が県内外からあったと思いますが、それについて宮城県からはHPで「女川原子力発電所の1号機,2号機及び3号機については,地震直後,安全に停止しております。また,東北電力株式会社が発電所構内に設置しているモニタリングポストによると環境中への放射能漏れはありません」とだけで、くわしい状況についての説明がありません。
 一体、女川原発は地震・津波によりどれくらいの損傷があるのか(火事もあったようですが)、はたしてどこからも放射能は漏れていないのか、また今後再稼働する可能性はあるのか、とりわけ1号機は70年代に製造されたものであり、すでに30年たっている古い原子炉であることからいっても、再度動かすことは住民感情からいっても難しいのではないか、などいくつかの疑問に対し、県としての見解を求めます。
特に、福島原発との関係でいえば、女川原発でも津波の当初、非常用電源が作動しなかったことは、重大な事態であったと考えます。以下東北電力HPからですが、
http://www.tohoku-epco.co.jp/emergency/8/index.html
【女川2号機】
・原子炉建屋地下3階非管理区域にある補機冷却系の熱交換器室に、海水が浸水していることを確認しました。この影響により、非常用ディーゼル発電機(B)および高圧炉心スプレイ系用非常用ディーゼル発電機が起動しませんでしたが、外部電源からの電源供給および非常用ディーゼル発電機(A)の起動により、必要な電源が確保されていることから、プラント運転上問題ありませんでした。3月16日10時30分、海水の排水を完了しました。

とありますが、ここで、万が一外部電源からの電源供給および非常用ディーゼル発電機(A)の起動ができなった場合、福島原発と同様に、使用済核燃料プールの冷却ができない事態になっていたかと思います(稼働直後のため、原子炉内の温度はまだおそらく低かった?)。もしかして、福島県が直面している問題を宮城県も直面しなければならなくなったかもしれないことを、県としてはどのように認識していますか?
 いずれにしても、女川原発については、まずは福島原発の推移とその後の分析をしっかり行うことがなにより求められており、間違ってもその前に拙速に再稼働に向けて動くことのないようにすべきです。

以上の4点を早急に実現するよう、強く求めます。

 福島原発の危機の収束はまだまだみえず、原子炉の溶融、および圧力容器の破損により大量の放射能の拡散という現実に私たちは直面しています。すでにプルトニウムも原子炉の外に放出されています。
 宮城県としても、これまでの危機感のなさを改め、県民の不安解消のためには、まずはしっかり放射能値について検査し、情報を集め、それを公開すること、そして最悪の事態に備えた体制を準備することがなによりも大切だということをしっかり肝に銘じて、県民の安全のために仕事されることを強く望みます。
以上

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この記事のURL:http://himar-diary.jugem.jp/?eid=19



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