2011/05/27(金) 15:14|震災

喪失感

  10日ほど前のことです。友人の家に用事があって電話しましたが、両親(友人)とも不在で、小学生の子どもたちが留守番をしていました。「いま、お父さんとお母さんいなくて留守番中だって〜。」と、近くにいた私の息子に何気なく言うと、「お父さんとお母さん、死んじゃったの?」と息子の返事。ぎょっとして慌てて否定しましたが、息子はこう続けました。「同じクラスの〜ちゃん、お祖母さんが地震(津波)で死んじゃったんだよ。授業中に泣いていた」と。沿岸地域の子どもたちが授業中に突然泣き出したりすることがある、というのは、ニュースでは知っていましたが、ここでも身近なことなんだと改めて思いました。
 10年ほど連絡の取れていなかった、中学時代(新潟)の友人が石巻に住んでいて、先週電話をくれました。地震後1週間頃に、新潟に住む共通の友人からメールで「無事」を聞いていて、高台に住んでいたのかな〜などと思って安心していたのですが。
 「2階の上まで浸水した。持ち出せた物は、貴重品と息子のランドセルと娘のお気に入りの毛布のみ。夫は会社の車で仕事に出かけていて、自宅(賃貸)には車があったけれど私は免許を持っていない。それを知っていた近所の人が、車さえあればそこに泊まることもできるしどうにでもなるから、と近くのショッピングモールの屋上駐車場まで私と子どもたちを乗せて車を運転してくれた。でも、その人は他の親戚を助けにいっている間に、津波で亡くなってしまった。私たちはその後、避難所に行って、後は親戚のところにお世話になっている。アパートを借りる予定だけれど、そこも浸水したのでリフォームが終わるのは7月末だ」と言うので驚きました。
 「全然、無事じゃないじゃん!」、、、でも、地震直後の連絡では、生きていることを「無事」と言ったんですよね。全て浸水しヘドロをかぶったので何もかも使い物にならなくなったそうですが、「物資をもらえる場所を回って、いまや12袋分の荷物があるよ〜」とからからと笑っていました。たくましい友人ですが、家族の生活物資全てが12袋では多くはないでしょう。そして、人々を助けた人が亡くなった、その話も無数に聞きました。これもニュースでも、もちろん聞いています。でも、知人から「消防団に入っていた中学時代の同級生が、津波避難を呼びかける3回目の見回りに行き犠牲になった」という話を聞くと、ニュースで聞くのとは何か違うのです。
 仙台の人も、地震直後何をしていたか、会ったり電話したり、まず話をする時期がありました。まだ、続いています。そして、沿岸の友人・知人から話を聞くことも続いています。自宅が流されたり燃えたりするのを目にし、多くの人が津波に飲み込まれるのも見た人たちもいます。遺体安置所を毎日回った友人・知人たちもいます。想像もできないことです。まだ、話せない人も多いでしょう。
 ライフラインが復旧しても、気持ちは全く通常ではないのです。深い喪失感を抱えたままの生活になっています。仙台でさえ、2ヶ月以上経ってこれなのです。
 ニュースでは、明るく前向きの話題を、と「復興」のニュースばかり流れます。でも、私の周辺でさえ。近所の市民センターはまだ避難所で駐車場にシャワー用のテントがある状態。給食センターが復旧せず毎日お弁当を作らないといけませんが、近所のスーパーは閉店しました。大好きなおにぎり屋さん(おかずもおいしい)は自宅が壊れたそうでまだ再開していません。不動産屋さんに掲示してある物件も激減(需要が多く家賃は値上がりしているそうです)。駅前の3階建てのドラッグストアは地震以来閉まっています。ずっと立ち入り禁止になっていた駅前の商業ビルも、やっと修復見通しが立って全てのテナントがいったん退去だそうです。老舗のホテルも全館営業は来月。テレビCMでは、(震災前に決まっていたけれども会場が使えないために)中止のコンサートの払い戻しについてのお知らせがたくさん、、、。失業・休業者は身近にも確実にいます。復旧・復興していないことこそ、そして復興から置いてきぼりされかねないことを伝えるべきな気もします。
 いま、特別に何かをしなくてもいいから、家族にも、友人・知人にも、自分自身にも丁寧に向き合うことが大事なんだろうと思います。、、、が、頭でわかっていても、自分も疲れながら、いつも以上に甘えてわがままな息子を受け入れることだけでも、あまり簡単なことではありません。小学校から渡されたプリントには「反応が出るのは当たり前。数ヶ月、半年という長い期間、影響が出てくる」とありましたが、これは普段からのわがままなの?? 震災のせいなの??と思う日々です。
 そして、3月11日前の日常は二度と戻らないことをますます感じています。
この記事のURL:http://himar-diary.jugem.jp/?eid=24



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