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2012/07/09(月) 21:01|パレスチナ

イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン

福島原発の監視カメラが、イスラエルのマグナー社のものだったことが話題になりましたが、以下のように、かなり問題含みのビジネスセミナーが開かれます。

詳しくは、ミーダーン<パレスチナ・対話のための広場>をご覧下さい。パレスチナ・オリーブも賛同しています。

* * * * *
私たちは「イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン」の開催に反対します

駐日イスラエル大使館経済部のウェブサイト上で告知されている情報によると、来る7月10日、「イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン」という名のついたイベントが、ホテルオークラ東京において開かれます。これは同経済部の主催によるもので、イスラエルの企業13社がさまざまな分野におけるセキュリティに関する自社技術のプレゼンテーションを行ない、日本側参加者との個別会議の場も設けられるとのことです。またイスラエル国防軍の元准将であるアムノン・ソフリン氏(現・イスラエル国立防衛大学講師/民間警備業界コンサルタント)および元大佐のラミ・エフラティ氏(現・イスラエル政府内閣府国家サーバー局部長)による、イスラエルの防衛・公安戦略やイスラエルが有する技術についての講演も予定されています。

参加するイスラエル企業一覧には、それぞれの企業がサイバー空間・公共インフラ・軍事施設・個人資産などの領域におけるセキュリティを手がけていることが示されています。しかしここで「セキュリティ」とだけ表現してしまうと、大きな誤解が生じるでしょう。例えば、イスラエルの国営企業IAI(イスラエル航空宇宙産業)は、その3部門がそれぞれ単独の企業として参加することになっていますが、同社は1974年に「世界で初めて無人偵察機を開発」(同社ウェブサイトより)したイスラエルの軍需産業最大の企業です。今年に入ってからは、同社が「アジアのある国」と16億ドルの武器売却契約を結んだとの報道もなされています。同じく参加予定のエルビット・システムズも、イスラエル国防軍はじめ世界の多くの軍隊を顧客とする軍需産業の代表的企業であり、軍隊における防衛システム導入や技術教育・訓練を請け負っているほか、占領地の分離壁や境界フェンス上に張り巡らされている警備・警報システムを供給しています。

つまり「イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン」とは、イスラエル軍需産業が兵器・防衛システムを開発・生産し、同時に占領下のパレスチナ人を管理・弾圧し続けるなかで「経験」を蓄積し向上させてきた技術を、「セキュリティ」の名のもとに軍事・民事もろとも日本に売り込むための企画なのです。仮に営業の中心が一見「軍事」とは縁遠い警備システムやハッキング/ウイルス対策製品であっても、イスラエルの軍事拡張と占領の維持にとって必要とされた技術が転用されているに過ぎません。

これまでにもイスラエルの企業が産官の連携のもとに、揃って日本で営業活動を行うということは何度もありました。今年2月にも、「イスラエル・テクノロジー・デ−」と銘打たれた催しが、やはりイスラエル大使館経済部の主催によって行われ、日本とイスラエルの経済連携の推進がうたわれました。しかし、このようにイスラエル軍需産業の代表的企業が大手をふるい、揃って日本の企業に売り込みをかけるのは、これが初めてでしょう。私たちはこれを、決して看過してはならない事態だと考えます。

2001年の「9・11」以降、「テロ対策」への取り組みが進展するなか、イスラエルのセキュリティ産業が世界中で急速にシェアを伸ばしたことは、よく知られています。2004年のアテネオリンピックでは、15のイスラエル企業がセキュリティ管理に関わったと伝えられました。また、2008年の北京オリンピックでは、イスラエル企業DDSが選手村を含む10施設のセキュリティ・システムを受注し、今回のイベントの参加企業でもあるNICEシステムズは、北京の地下鉄のセキュリティ・システムを担当しています。

日本においても、これまでイスラエルのセキュリティ関連製品の輸入の増加や、販売代理店の設立などが指摘されてきました。そうした動向の一端を深刻なかたちで示したのが、2011年の福島第一原発事故後のイスラエル側での報道でした。イスラエルのマグナー社が、テロ防止のための監視システムを同原発に供給していたという問題です。この件に関して東京電力が全く情報を公開していないため、詳細は不明のままですが、イスラエル側の報道によれば、マグナー社は福島第一原発だけでなく、日本国内の複数の原発に同社のシステムを導入する契約を行っているとのことです。同社は今回のイベントの参加企業でもあります。

ここまで来ると、問題はイスラエルの軍需・セキュリティ産業の問題だけではないことに気がつきます。日本社会がイスラエルのセキュリティ産業にとって魅力的な市場になり得てしまうのは、それを受け入れ必要とする側の問題でもあるからです。これまでにも私たちは、占領体制のなかで利益を上げているイスラエル企業をボイコットする取り組みを行ってきましたが、日本からイスラエルの企業をシャットアウトしようとするだけでなく、日本社会のあり方を問う視点が必要になっていると考えます。

私たちはすでに、「安全で安心な社会づくり」という名目で進展した日本の管理・監視社会化を「日本のイスラエル化」と捉えて問題化してきました。3・11以降、私たちがつくづくと思い知らされたのは、こうした管理・監視社会こそが原発の推進を可能とする社会であり、セキュリティを口実とした情報の隠蔽や操作を許す社会でもあるということです。核兵器を所有しながら一切の情報公開や査察受け入れを拒むイスラエルの政策を批判しながらも、3・11以前の私たちは、原発という核施設をもつ日本の問題を、この文脈で十分に問題化できずにいました。

こうした反省に立ちながら、私たちは、この「イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン」開催の報に対して抱く私たちの危機意識を、「パレスチナ/イスラエルの問題」、あるいは「パレスチナ/イスラエルに関わる人間」だけの問題意識とするのではなく、現在脱原発や反核・平和の課題に取り組んでいる方々と広く共有してゆきたいと考えます。多くの方々によって「イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン」開催に対して注意の目が向けられ、それぞれの方の抱える課題との接点が見出されることを願い、これを皆様への呼びかけとしたいと思います。

2012年7月7日
ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
パレスチナの平和を考える会

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